#「美しい国・日本」の行方

+私たちの国は今、この「国のかたち」を決定する「憲法」の改
 正をめぐる論議の中にある。しかし今、現に民衆の心を捉えて
 いるのはこの国のかたちを決める憲法ではなく、明日食べる米
 すなわち「年金問題」である。憲法ではなく年金問題で、自民
 党政権は存亡の危機に立たされている。先進国でありながらあ
 まりにずさんすぎた年金処理、行政府の国民不在の感は否めな
 い。すなわち、この国は「国民主権」ではないのだ。天皇を
 「主権者」とする明治憲法から、敗戦後、国民を主権者とする
 新憲法に変わったが、この国のかたちは明治以降、何も変わっ
 ていないのだ。そんな中で「憲法改定」論議が始まった。

+私たちは再び幕末・維新の時代にあるのではないか。しかも今
 回は、政治・経済・文化のすべてにおいて、日本の特殊性を主
 張し、それを通じて新たな世界文明を創るということでなくて
 はならない。なぜなら、被爆という、唯一、西欧科学・技術文
 明の闇を実験した国として、新しい世界秩序の建設のために、
 日本の貢献が大きな課題となっているのである。

+「美しい国・日本」、それによってこそ真に新しい世界の形成
 にあずかれること、それが首尾よくできるかどうかは、人間と
 は何者か?という問題に向かい合わざるを得ない。

+人間は「動物+アルファ」の存在である。この「アルファ」の
 極小さな差異によって人類は文明という大きな力を得てきた。
 しかし聖書は、その文明に破壊の要素を見た。それが「バベル
 の塔物語」(創世記11章)である。

+人間は古くより、一方では統一と平和をのぞみ、他方では多様
 化と破壊を目ざしてきたのではないか。この統一と破壊という
 人間の矛盾した行為を可能とし、その拡大を許してきた原因は
 文明という力が人類にはあり、また地球という環境に余力があ
 ったからである。しかし今まさに、人間は「成長の限界」に直
 面している。地球温暖化と、「精神にせよ、人間性にせよ、愛
 や創造力にせよ、貧困を目ざしての破滅的な下降」(ヤスパー
 ス『歴史の起源と目標』)にある。

+もし人類が生存しつづけられるとしても、それは利己的で弱肉
 強食を旨とする、優者を自称する人間から成り立つ、恥ずべき
 人類が支配する世界であろう。そして、生き残った恥ずべき弱
 肉強食の人類は、互いに争って絶滅する可能性が強い。「人間
 のそして人類の終焉」は意外に早いのではなかろうか(渡辺格
 『人間の終焉』)。

 | BLOG TOP |