#瞳の輝き
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、
神の霊が水の面を動いていた。神は言われた。
「光あれ。」 (創世記1:2−3)
+わたしの好きなフォークソング歌手に、さだまさしがいます。
この人の歌に「風に立つライオン」というのがあります。ケニ
アのナイロビで海外医療協力隊員として働いている青年医師の
もとに、昔付き合っていた恋人から突然手紙が届き、それに対
して書いた返事を歌にしたものです。さだは歌います。
……
三年の間あちらこちらを廻り
その感動を君と分けたいと思ったことがたくさんありました。
ビクトリア湖の朝焼け、
百万羽のフラミンゴが一斉に飛び発つ時暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪、草原の像のシルエット
何より僕の患者の瞳の美しさ
この偉大な自然の中で病と向かい合えば
神さまについて ヒトについて 考えるものですね
やはり僕たちの国は残念だけれど
何か大切な処で道を間違えたようですね。
……
+ここにはアジアやアフリカの貧しい国々で援助活動をしてきた
多くの人々が、等しく口にする経験が歌われています。その瞳
の輝きは、「ビクトリア湖の朝焼け、百万羽のフラミンゴが一
斉に飛び発つ時暗くなる空や/キリマンジャロの白い雪、草原
の像のシルエット」よりもはるかに美しいと。
+精神科医神谷美恵子さんは『人間を見つめて』という本を、
「戦後二十五年のあいだ、日本では物はゆたかになったが、心
はかえって飢えている…」と書き始めました。この言葉は、さ
だの歌と重なるのです。豊かさの中で、とらえどこのない空し
さが人々の心に巣くっているのです。若者たちはもうとっくに
大人たちの作ったものの先を見てしまっているのです。
+ゆたかなの中でなぜ心は飢えるのでしょうか。人間の心が「こ
の世をみたす不思議に対して何も感じなく」なってしまったの
です。心理学者はこの心を〈アパシー〉と名づけました。無関
心症候群と呼んだのです
+「私が当時も今も痛感しているのはただ精神の危機である。私
は現実に進行しているのは、生の無意味さの暴露であると思う
そして精神がそれにたいし、普遍的な価値の創造でもって対抗
していないことである。」真継伸彦は『破局の予兆の前で』で
こう語りました。
+生の無意味さ、つまらなさ、それは創世記1章を記した記者が
生きていた時代の特徴でした。この人も生の無意味さの中で生
きていたのです。それは1章2節のみ言葉に描かれています。
「地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、強風(神の霊)が
水の面を動いていた。」
+み言葉は、この混沌に向かって神が「光あれ」と語られたと記
します。聖書は、生の無意味さを真正面に見据え、それに対し
て普遍的価値の創造でもって対抗しようとしているのです。