#偉大な神秘
ついに、これこそわたしの骨の骨、わたしの肉の肉。
これこそ、女と呼ぼう。…男から取られたものだから。
こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、
二人は一体となる。(創世記2:23−24)
+数年前、BS1のドキュメンタリー「地球法廷」を見ました。
インターネットを使い、広く全世界から、一つの問題をめぐっ
て多様な意見を交換する番組です。その中に、家族の解体はこ
こまで進んでいるのかと改めて突きつけた内容がありました。
結婚をせず、また、ある特定の相手との人格的な交流もなしに
「精子バンク」から誰のものとも分からない精子を購入し、女
が一人で子供を産み、育てるというケースです。
+私たちの世界で今、何が起こっているのか。20世紀、それは
小さな家族の大きな崩壊の時代でした。特に先進諸国において
男と女、夫と妻の関係は、政治や経済や社会と同じように揺ら
いでいるのです。
+フロイトは1930年、「文化とその不安」の中でこんなこと
を言っています。
かつて、家族は唯一の共同体であった。しかし今、産業社会
が力を増している。それは、家族よりも強力な存在となるで
あろう。家族は今、崩壊の途にある。まず、若者たちが家族
の束縛から逃れようとしている。男たちも、家族以外の集団
に依存しなければ生きてゆけなくなり、それだけ夫や父親と
しての任務から遠ざかりかねない。取り残された女たちは、
その変化に不安と敵意を抱いている。やがて女たちも家族の
外に目を向け、妻として母親としての任務から遠ざかりかね
なくなる。そのとき、家族は抜け殻となるであろう。
+誰もが心を家庭の外に向けて暮らす社会が出現する。フロイト
のこの予言は現実のものとなったのです。聖書はまるでこの時
代の到来を予測していたかのように「楽園物語」の結びに〈結
婚の神秘〉を置いています。
こういうわけで、男は父母を離れて女と結ばれ、
二人は一体となる。
+聖書はここに「人間の絆」「家族の絆」の原点を見ています。
否、ここにあるのはそれ以上のものです。エフェソ書の記者は
ここにキリストと教会との関係を見ているのです。
「それゆえ、人は父と母を離れてその妻と結ばれ、二人は一
体となる。」この神秘は偉大です。わたしは、キリストと教
会について述べているのです。(5:31−32)
+時代の激流に飲み込まれず、翻弄されないための命綱があると
すれば、それは人間同士の絆をおいて他にないのです。聖書は
〈キリスト・イエスにある〉夫婦は人間の絆の原点であると教
えます。この教えは、近代的自我の確立が〈〜から〉の自由に
よって、あらゆる絆を切断し、破れに破れを加え、亀裂を深め
ている今日の世界への、大きな光ではないでしょうか。