#第一部 ミサの歴史 J.A.ユングマン
第二章 初代教会からヒッポリュトスまで�
+ローマ司教クレメンス
クレメンスは「コリント教会への手紙」(93〜97年頃)で
感謝の祭儀にふれている。混乱を起こすような一部の連中に向
かって、次のように力説する。教会には、キリストから使徒を
通じて任命された聖職者がいる。彼らの一番大切な仕事は、神
聖に「供えものをささげる」ことである。それは、わたしたち
のささげものである。つまり教会の奉献なのである。それをさ
さげることこそ、キリストから任命された者がまず果たすべき
任務である。究極的には、本当の祭司はキリスト自身である。
+アンティオキア司教イグナティオス
イグナティオスは猛獣の餌食とされる死刑を宣告され、ローマ
へ護送される途中で惜別の手紙を書いている(110年頃)。
この書簡には、感謝の祭儀のことが何度も出てくる。この状況
だけからも、それが教会生活の中で、信者の意識の中で、いか
に重要な位置を占めていたかが分かる。
キリスト者の中には、エウカリスチアや共同の祈りから遠ざか
る者がいた。彼らは聖別されたパンが、生身の体で苦しみ復活
したキリストの肉だとは、信じなかった。これはキリスト仮現
論者のことである。彼らは愛餐を拒んだ。だからイグナティオ
スみずから、感謝の祭儀のことを「アガペー」と呼ぶ。この愛
餐において一つのパンが裂かれる。このパンは「不死の霊薬」
である。キリストの体である神のパンの他に、彼の血である飲
み物にもふれている。
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