#成長を実感に!
+「成長を実感に!」を党是としたポスターで挑んだ参議院選挙
で、自民党が「歴史的大敗」を帰した。「私か小沢氏かどちら
が首相にふさわしいかを問う選挙だ」と公言した安倍首相は、
国民から「ノー」を突きつけられたにもかかわらず、早々に続
投を宣言した。その表情は赤城農相に似てきた。まことに貧相
である。
+毎日、犬の散歩で歩く川縁に「成長を実感に!」のポスターを
見る。見るたびに、この人が見ているのは大都市の、しかも一
部の人々だけの「成長」なのだと実感する。少子高齢化、産業
の空洞化、農林水産業の衰退、自殺率・癌死亡率全国一位…の
秋田で生活する者にとって成長の実感はない。
+というか、そもそも、このまま「成長」し続けてよいのかと思
う。先進諸国の政治課題は、「成長」ではなく「成熟」、すな
わち、後退的な、速度を弛めた、癒しの未来を構築することに
あるのではないか。限りある地球はすでに「成長の限界」を越
えてしまったのだ。
+経済成長が絶対的価値であった1972年、地球の有限性を指
摘する『成長の限界』が発表され、世界的ベストセラーになっ
た。コンピュータ・モデルを使って出されたその結論は、次の
ようなものであった。
+人口、工業化、汚染、食糧生産、資源消費などの点で、現在の
ような傾向が不変のまま続けば、今後100年のうちに地球上
での成長は限界に達する。その結果、最も起こる見込みの強い
結末は、人口と工業力の突然の、制御不可能な減退であろう。
+世界を震撼させた『成長の限界』から20年後、同じ研究グル
ープがより洗練されたコンピュータ・モデル「ワールド3」を
駆使して、前著の結論を現実世界に照らして検証し、次のよう
に述べている。
+人間が資源を消費し、汚染物質を排出する速度は、多くの場合
すでに物理的に持続可能な速度を超えてしまった。技術改良や
環境意識の高揚、環境政策の教化などが見られたにもかかわら
ず、多くの資源や汚染のフローがすでに持続可能性の限界を超
えてしまっていることがわかった。研究グループのなかから、
世界は「限界を超えてしまったのではないか」という意見が出
た時、誰も反論する者がいなかった。
+人類社会は限界を超えてしまったのである。現在のやり方では
持続不可能なのだ。もし未来というものがあるとするならば、
後退的な、速度を緩めた、癒しの未来以外には考えられない。
つまり、生産性や技術以上のもの、成熟、憐れみの心、智慧と
いった要素が要求されるのだ。
+『限界を超えて』の著者は言う。技術的、経済的には、持続可
能な社会への移行は可能であるし、さほど難しいことでもない
と信じている。だが、心理的、政治的には、人びとに二の足を
踏ませるような選択であることも承知している。それは、あま
りにも多くの希望が、あまりにも多くの人びとのアイデンティ
ティが、そして工業化された現代文明の多くが、果てしなく続
く物質的成長という前提の上に築かれているからだ。
+聖書は、政治的には「二の足を踏ませるような選択」をすると
ころで人間の生き方を教える。アブラハムが「祝福の源」とし
て召されたのは75歳であった。成熟、憐れみの心、智慧は聖
書にある。
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