#醜いアヒルの子は飛翔せず

+安倍首相が突然、国会での代表質問に入る直前、「辞意」を表
 明した。参院選で大敗し、誰もが辞任するだろうと思っていた
 矢先、早々と続投を表明した首相が、「人心一新」と称して新
 内閣を組閣し、APECでテロ特措法に「職を賭す」と発言し
 臨時国会での所信を表明した後で、突然、辞意を表明した。

+「美しい国・日本」と鳴き続けた醜いアヒルの子は、ついに飛
 ばなかった。

+「コヘレトの言葉」に、「何事にも時があり、天の下の出来事
 にはすべて定められた時がある」(3: 1)とある。人が生まれ
 てから死ぬまで、一生の間に経験する様々な出来事、「…植え
 る時、植えたものを抜く時、殺す時、癒す時、…泣く時、笑う
 時、…求める時、失う時、…愛する時、憎む時、戦いの時、平
 和の時」(3:2-8 抜粋)が定められているという。そしてコヘ
 レトは言うのである。「神のなされることは皆その時にかなっ
 て美しい」(3:11 協会訳)と。

+今回の安倍首相の突然の辞任劇には、時宜に適った「美しさ」
 はどこにもない。その醜さは「時宜を失った」ことと決して無
 関係ではない。この人は、神の時(天声人語)を見極めること
 ができなかったのである。

+何が起きたのか。私は思う。「自民党をぶっ壊す」と小泉前首
 相が声高に叫んだ通り、自民党は壊れたのだ、と。今回の安倍
 辞任劇は、壊れ行く自民党の断末魔の叫びではないのか。安倍
 首相は身を以て「戦後レジームからの脱却」を果たしたのでは
 ないのか。この政局の混迷が、美しい国造りのための産みの苦
 しみであることを祈らずにはいられない。

+今回の政局の混迷を見ていて、色川大吉が『昭和史世相編』の
 中に記した言葉が思い起こされた。「歴史をつくるのは民衆だ
 というが、民衆それ自身ではない。民衆は本質的に保守的なも
 ので、自己保存的な体質をもっている。歴史を決定的に動かす
 のは、民衆から離れず、民衆の一歩前を自覚的に歩いてゆく少
 数のリーダーです。その少グループの運動が、不断に変革を準
 備することをしていなくては、歴史の創造の主役として民衆が
 政治の局面に登場することはありえないと思う。」

+今こそ、歴史の創造の主役として民衆が政治の局面に登場する
 時である。民衆から離れず、民衆の一歩前を自覚的にゆく少数
 のリーダーはどこにいるか? 自民党か、民主党か…。見極め
 たいと思う。この国の将来のために、そして混迷を極めている
 世界の明日のために。

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